そんな私の
乙女ゴコロに
気づく様子もなく
私に横顔を向けたまま
セイはデータを
さらに先送りする。
今度は
廃墟と化していた屋敷の様子が
おおきく映し出されていた。
「部屋の中に馬がいる…」
蹄、タテガミ、尻尾。
馬のカラダの一部が
写真の中のあちこちに
映り込んでいて。
「…ひとり寝が
淋しかったから」
セイが
ラーメンを食べている私に
初めて視線を向けてくる。
…ずるずるずるる。
「ラーメン、美味しいか?」
「部活終わりだもん。
美味しいに
決まってるじゃないッ」
セイの冷やかな目が
確かに
私を責めていた。
「…ラーメン
食べたいんなら
そう言えばいいじゃないッ」
「おまえは
勘が鈍いのか?
それとも
わざと気づかないフリ
してるのか?」
…セイの低い声が
やな感じッ。
「お馬さんに
慰めて貰えてたんなら
何よりじゃないッ」
「馬の前足が
そんなに器用に動くモノだと
思っているのか?」
…また下ネタかいッ!
私はラーメンのスープを
イッキに飲み込んで
キッチンに
退散する。
「俺、とんこつラーメンに
チーズ入れて!」
…食うのかいッ。
お鍋にお湯を入れ
私はとんこつ味の
インスタントラーメンの袋を
破いた。
「チーズなんて入れて
美味しいのかなッ」