エレベーターの中で
テツオさんが
セイに絡みつくように

キスしてるううううう!!!


…軽いめまいがした。


「あ」

セイが
自分達を恨めしく見つめる
私の視線に気づいて

何も見なかったかのように

エレベーターの
クローズボタンに
その長い腕を伸ばして。


エレベーターが
静かに閉まっていく…。


って、おいっ!!!

「待たんかいッ」


私は閉まろうとしていた
エレベーターの扉に

強引に自分の肩をねじ込んで

エレベーターを
こじ開けたッ。


「…何?」

セイが自分の肩先に
テツオさんの顔を
埋めさせるようにして

悪びれもなく
抱きかかえてる。


…な〜にが「何?」だッ。


「テツオさんの
忘れモノッ!!」


私は持っていたバッグを
両手でアピールした。


「ああ、どうも」


どうも、じゃないッ。


セイは顔色ひとつ変えずに
私からバッグを
人差し指1本で受け取ると


「じゃ」

その手で再び
クローズボタンを
押そうとする。


「ごめんね、トーコちゃん♪」


セイの腕の中

ちょこっと振り向いた
テツオさんの顔が
紅潮していて


…逆上したッ。


「オノレらは
こんなトコロで
何をしとんのじゃいッ!!」


私は閉まりかけた
エレベーターに滑り込んで

ふたりを
力いっぱい引き離した!!


「いやんッ♪」


テツオさんが
セイの腕に
しがみつこうとして

私はそれを
阻もうとする。


「テツオさんッ!

コレは
ないんじゃないですかッ」


「トーコちゃんこそッ!

減るモンじゃないんだし

ケチケチしなくても
いいじゃないッ」