ぷにぷにッ♂008
ママの退院を
家族みんなでお祝いする。
テツオさん手作りの
豪華料理は
たった2時間くらいで
用意できたなんて
思えないほどの出来で。
「トーコも
ここまでとは言わないけど
料理は出来た方がいいわね」
ほんの少し前まで
疑惑の目を
向けていたヒトとは
思えないくらい
ママはテツオさんの料理に
満足そうに
舌鼓を打っていた。
「私だって
海老フライの海老ッ
殻を剥いて
背ワタを取ったんだからね!」
「海老の下処理を
したくらいで
図々しく胸を張るな」
セイのクールなツッコミが
ムカつくッ。
「セイこそ
せっかくのテツオさんの
手作り料理なのに
生ハムとか
チーズとか
ウズラのタマゴばっか
食べてるんじゃないわよッ」
「アスパラも食べてるわよね」
ママが例の如く
セイの援護に回って。
「トマトも食べれるように
なったんだよな」
パパまでも
セイを甘やかして。
…セイはオコチャマかッ。
私はセイと睨み合う。
「あ、そういえば
せっかく買ったケーキ
出すのを忘れてない?」
ママはその場の空気を
誤魔化すように
調理台の上にあった
おおきな箱を指さした。
「ああ。…そうだったね」
ママに催促されて
セイがイスから立ち上がる。
「ケーキ?」
「店の前を通りがかって
ママがどうしても
食べたいって言うからね」
家に帰る前に
3人でケーキ屋に
寄ってきたんだと
パパが私に
説明してくれた。
「あらッ。
パパも食べたかったんだって
賛成してたじゃない」
「いや、パパは
プリンがよかったんだけどね」
「プリンはセイが
勧めてくれてたんでしょ」
「そうだっけ?」
ママはパパと楽しそうに
話してる。
…ママ、以前と変わらなくて
本当によかった。
ママの笑顔に
安堵した。