ぷにぷにッ♂010


ちいさい頃のセイは

それはそれは
天使のような笑顔で
笑うオトコノコだった。

いつもニコニコ。


いっしょに
歩いていても

目を引くのは
絶対にセイの方で。



「あら、懐かしい写真ね」


リビングに
アルバムを広げて

古い写真のフィルムを
整理していると

ママが興味津々で
私の傍にやってきた。


「ママ、フィルムのネガって
どこにあるの?」


「古いヤツだったら
確か青いお菓子の缶の中に…」


ママが戸棚の中を
ごそごそと探し出す。


「あ、私が探すから」

病み上がりのママを
疲れさせるワケには
いかないもんね。


「青いお菓子の缶…と」

ママに代わって
戸棚の中を捜索を始めた。


「昔のフィルムなんて
どうするの?」


「…永久保存できるように

デジタル処理に
しておこうかと思って」


またウソをついてしまう。


「それってお金
かかるんじゃないの?」


「だから
残したいヤツだけ
選ぼうかと思って」


私は戸棚の奥に
青い缶を見つけた。


本当は
ねずみ〜らんどの先生に

写真コンテストの応募を
思いとどまって貰う為に


セイのとっておきの写真を
献上するつもりで

写真を探していたんだけど。


モノがモノだけに

その写真だけを
アルバムから剥がしたら

きっとセイに
不審がられてしまうから。


セイとしては
そんな写真が外に
流出してしまうのは

耐えがたい屈辱だとは
思うけど


あの先生に
よだれを出させる程の
衝撃写真。


ふたりのベッドイン写真が
流出してしまうのを思えば

背に腹は代えられぬ。