「セイが写ってない
家族写真なんて…」


やっぱり
何か気が引けた。


セイがいなくて

パパとママを独占できて

私はこんなに機嫌よく
カメラに
納まっていたのかな。


…だとしたら
余計にこんな写真選べない。


「やっぱり他のにしようよ」

「そお?

これ、セイが
写した写真なんだけど」


え。


パパが初めて買った
一眼レフのカメラ。


セイの方が
上手に撮っちゃうから


「パパが
すんごく落ち込んでたの

覚えてない?」


…そういえば

家族で行った遊園地。

ピンボケ写真ばっかりの
ネガがあったような…。


「……」


でっかいカメラの
レンズを向ける

ちっちゃいセイを


私は笑って指さして。


しあわせの瞬間を
切り取ったような
その写真に

私は苦笑する。


「そうだね。

これも永久保存、かな」


私は
ピンボケだらけのネガを
探し出した。