ぷにぷにッ♂011
シンスケが
また溜息をついている。
「シンスケくん
部活中にぼ〜っとしてたら
怪我するよ!!」
女子新体操部の
新キャプテンのナンノの
おっきな声が
体育館中に響き渡った。
「あ、ああ」
我に返ったシンスケが
こっちに近づいてくる。
「どうったの?
最近、テンション低いねッ」
すれ違いざまに
私は創り笑顔で
シンスケに声を掛けた。
「……」
シンスケはチラリと
私を見て
また深い溜息をついく。
「男子体操部の
新キャプテンがそんなんじゃ
みんなついてこないわよッ」
ナンノが
暗〜いシンスケの後姿に
ハッパを掛けた。
「あ〜。そ〜だな〜…」
「そうだな、って
シンスケくん
どこいくのよッ」
「便所」
シンスケは立ち止るコトなく
力ない足取りで
体育館を出て行った。
「トーコって
シンスケくんと
同じクラスなんだよね」
「あ、クラスは同じだけど
選択授業が
全然違うしッ」
「教室でも
あんなカンジなのかなあ…」
ナンノが
シンスケの落ち込みぶりを
心配している。
「……」
セイが
私の許婚だってウワサが
あっという間に広まってて
きっとシンスケの耳にも
入っているんだろうけど
シンスケは
私に直接
そのコトを確かめようとする
素振りすらみせなくて。
…やっぱり
怒ってるんだよね。
愛するセイと
メールアドレスを
交換できて
それはもう
期待に胸を膨らませてたから
余計、ショックは
おおきいに決まってる。