セイの姉だから、こそ

一生懸命
いろんなコトに力を貸して
私を気にかけてきてくれて
いたんだろうに。


夏休みの宿題に
朝練に。

新体操部復帰に
道をつくってくれたのも
シンスケだった。


そんなシンスケに

「ありがとう」って
声をかけるコトはできても

「ごめんなさい」は
やっぱり言えない。


いっそ
怒鳴りつけて
なじってくれた方が

どんなに気が楽か…。


なのに

「シンスケくんってさ。

トーコのコト

好きだったんじゃ
ないのかな」


ナンノの思わぬツッコミに
目が点になる。


「だってさ。

シンスケくんが
あんなフヌケになったのは

トーコに婚約者が
現れてからでしょ?」


あはははは。


「いや〜。
絶対に有り得ないからッ」


私はひきつりながらも
笑い飛ばした。


「…トーコってさ。

ちょっと
鈍感なんじゃないの?」


え?


「だってさ!」


朝練にわざわざ
つき合ったり

レギュラーテストを
受けさせる為に

コーチや部員に
アタマを下げたりなんか


「フツーできないよ」


…確かにフツーなら
しないだろう。


でもッ

シンスケの
セイに対する恋心は
人智を超えているッ。