「…シンスケは
誰にでも親切な
いいヤツだからッ」
「そういう言い方は
ズルくないッ!?」
えッ。
「ヒトの恋心を弄んでおいて
気がつきませんでした、じゃ
あんまりも
シンスケくんが
可哀想だわ!!」
ナンノが私を
キツイ目で睨んだ。
「え、いやッ
シンスケの恋心を
弄んでなんか…」
いたかもしれないけどッ。
「シンスケだって
ほら、私の為じゃなく
他に目的があったのかも
しれないしッ」
「どんな?」
「どんな、って…」
困ったッ。
セイと
お近づきになりたい
なんて
やっぱり
言っちゃマズイよね…。
「それにさ。
シンスケって
ああ見えて
メンクイだしさッ」
「ウソッ!?」
「ウソじゃないよ!」
だって
あんな性悪なセイが
お気に入りなんだから。
「メンクイのオトコが
そこそこの容姿の
オンナノコに
必要以上に構うのって
そんなの余計に
不自然じゃないッ!!!!」
「…あのッ?」
今、何気に私
酷いコト
言われてませんかッ。
「トーコって
サイテーッ!!!!!」
うあああああああん、って
泣き叫びながら
ナンノが体育館を
飛び出して行って。
ひとり取り残された私は
ボー然と立ちすくむ。
…ナンノは何で
あんなに激高してるんだ。
「トーコ先輩
今のはマズイッスよ〜」
後輩達が
ズラリと私を取り囲む。
「ナンノさん
シンスケ先輩のコト
ずっと
好きだったんですから」
え。
「ええええええええッ!?」
「ウチの学校に
編入してきたのだって
シンスケ先輩に
憧れて、ですからね」
って。
あのナンノがシンスケを
あのナンノがシンスケを
あのナンノがシンスケをッ!
…部活に復帰して以来
ナンノとは
凄く気が合っていたけれど。
そんな複雑な想いを抱えて
私と仲良くしてくれて
いたなんてッ。