「今度、研究室借りきって

トーコのカラダ
隅から隅まで消毒してやるよ」


少なくとも
このビーカーより
衛生的に
しなくっちゃね、って


セイがビーカーを
長い指で持ち上げて

私を見つめながら


アゴを上げ

思わせぶりに舌を這わせる。


「楽しみだな」

あはッ。

あははははは…。


セイの宣言に固まっている
私を無視して

セイは
黙々とプリン作りを再開する。


「冗談だよねッ?」

「来週の日曜日は
空けとけよ」


うぎゃああああああ。


ありえないッ!!

来週の日曜日は
絶対、朝から出かけてやるッ!


「ぼ〜っと立ってないで
そこのバットに水を張れよ」


気が
利かないヤツだなあ、って


セイが私に
エラそうに命令した。


おおきなボウルいっぱいの
プリンの液体。


ちいさな型に
取り分けるのかと
思ったら

おおきなボウルを
水を張ったバットの上に
乗せて

温まっていたオーブンに
そのまま入れてしまってる。


「…ジャンボプリンなんて
どうするの?」


「だっておまえ

ケーキは見るのも
嫌なんだろ?」


あッ!!!!


もしかして今日は

「私の誕生日ッ!!!!」


「セブンティーン
おめでとう」


セイが驚く私の唇に
横からキスをする。


…2歳お姉さんに
なっちゃった。


セイが焼いてくれた
こだわりのプリンケーキ。


セイが借りてきた
銀製のおおきなトレイに


「せ〜のッ」


パパとセイが
プリンを引っくり返す。


ぷよよよよ〜ん。


ぷりんぷりんしながら

銀のトレイに
姿を現したその姿は


ボウルから
抜けた瞬間

べろ〜ん、って
だらしなく横に広がって。


「…ドーム型になるハズ
だったんだよね」


だけど

プライドの高いセイが
自分の失敗など
認めるハズもなく…。


「計算通りの出来に
決まってるだろうが!」


セイが

飾りつける為の
フルーツの中から
さくらんぼを選び出すと


まっ平らになった
プリンの中心に

さくらんぼを差し込んだ。


「はいッ!!

見事にトーコの胸が
再現されましたッ!!」


「……」
「……」
「……」

セイのセリフに

家族のみんなが
笑顔のまま

プリンの代わりに固まった。





ぷにぷにッ♂012

≪〜完〜≫


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