ぷにぷにッ♂014
小学生の頃は
夏休みや冬休みになると
ママとパパに
映画を観に連れて行ってと
ふたりで
よくおねだりしていた。
トラえもんに
パンパンマン。
低学年の頃は
セイと同じ映画を
好んでいたけれど
気がつくと
私はヒロインの変身物。
セイはフランス映画の
社会風刺物を観たいと
お互い主張を
譲らなくなっていて。
私はママと。
セイはパパと。
別々の映画館で
映画を見て
その後、落ちあって
4人で食事を
して帰るというのが
お決まりのパターンと
なっていた。
フランスって言うと
恋人達の国って
イメージがあるけれど
当時、セイが観ていたのは
知的障がい者が
社会に対して
反乱を起こす、とか。
線路沿いに
ひたすら電車と競争する
孤児の話とか。
シニカルな視点で描かれた
政府や福祉政策に対する
アンチテーゼみたいな
映画ばっかりで。
「セイが観たがる映画って
みんなラストが
悲惨なんだよな…」
ナイーブな
読書家のパパが
レストランで食事中
ずっと溜息をついていた。
「でも画面は
美しかったよね」
なんて。
小学生のガキが言う
感想ではないって
家族みんなが
ココロの中で
ツッこんでいたと思う。
ブドウのジュースを
飲むのにも
いちいち横を向いて
グラスからちょろちょろと
流し込んでいるその姿も
いちいち
フランス映画かぶれしていて。
”美しさ”や
”ヒトから見られる”
というコトに
こだわりをみせていた
セイだった。
「ストロー使えばいいのに」
「氷の入ってない飲み物に
ストローなんて」
邪道だ、って
セイは私に向って
ストローの紙を
吹き飛ばしてきて。