「何するのよッ」

いつもこのパターンで
ケンカになってしまう。


趣味も合わない。

ケンカばっかり。


だけど何故か
いつも隣りにいる。


ママに着せられていた
よそ行きの洋服も

ジャケットが
色違いだったり。

セイのセーターと
私のマフラーが
お揃いだったり。


年が近いせいも
あってか


いつも
”ふたりで一対”
みたいな扱いを
されていた。


キュートでハッピーで

スポーツテイストが入った
古着感覚な洋服が
好きな私と


徹底して
高級ブランドの新作しか
身につけようとしないセイ。


今では

隣りに立っていても
口を利かなければ

偶然に居合わせた
知らないヒトにしか
見えないだろう。


だけど。


真っ暗な映画館の客席で
こんな風に

ふたり
折り重なるようにして


黙って見つめ合っている
この姿は


他のヒトの目には
どんな風に見えているのか。


「…重いよ、セイ」

座席のヒジ掛けが
私の背中に食い込んでくる。


「邪魔なヒジ掛けだな」

セイはそう言いながら
素早く身を起こして

「あッ」

今度は自分のヒザの上に
私を座らせた。


顔が半分くらい
背もたれから
覗いてしまって

恥ずかしすぎる。


「こんなの、やだッ」

身をクネらせて

隣りの座席に
逃げ込もうとする
私の両ヒザを

セイが自分のヒザで
おおきく開脚させて


「!!!!!!!!」


セイのカラダを
すべり落ちるようにして

私の下半身が
セイの両脚の間に沈み込む。