「どっちでも
いいじゃないですか」


答えてる
セイの笑顔がコワいぞッ。


「セイ、おまえ。

さっきの映画館も

無理矢理トーコに
何かしようとしていたんじゃ
ないのか?」


「…だったら?」

「セイッ!」

私は
挑発的な態度を取るセイを
思わず叱りつけていた。


「……」

セイが不機嫌な目で
私を睨みつけてくる。


「無理矢理、なんて
とんでもない」


セイがシンスケに
またウソを
重ねようとしていた。


「トーコが食べすぎで

ショーパンのボタンを
座席に飛ばしちゃって

探してただけですから」


えッ。


「俺まで一緒に探してたら
目立つでしょ」


ほら、って
セイが私のスカートを

ぴらん、と捲り上げた。


ぎょえええええええッ!!!


「オノレ、何しとん
じゃああああああッ!!!!」


セイの正面に
私の鮮やかな蹴りが決まる。


公衆の面前でッ。

シンスケの目の前でッ。


道行くヒトの方が
赤面してるぞッ。


シンスケだって…!


「…何だ。そうだったんだ」


私のスカートの中身なんて
興味ないって言わんばかりに

シンスケはセイの顔を
見つめていて。


「家庭の事情は
よくわかんないけど

親が決めた許婚だったから
養子のおまえは遠慮して

仕方なくトーコと
デートなんかしてるんだ?」


えッ。


「俺、みんなのウワサだけしか
知らなかったから

セイ、おまえのコト
誤解してて…」


「誤解?」


「ほら
ウワサをしているみんなが

嫌がるトーコに
言い寄ってくるセイ、みたいな
言い方をしててさ」


…半分当たってますけどッ。