「そうだよな。

セイは
どこまでも趣味のいいオトコの
ハズだよな!」


シンスケはひとりで
納得してるけど。


…私を好きになるコト

イコール趣味が悪い

って論理を

成り立たせてるって事実に
カチンとくる。


「セイは
誰かひとりに夢中になったり

ましてや
その辺のオトコみたいなマネ
するワケないのに

俺ってば…」

「……」

シンスケはどこまで
セイの存在を
神聖化しているのだろうか…。


コワイ。

マジ、コワイよッ。


「セイッ。

おまえを
信じきれてやれなかった
俺を殴ってくれ!」


えッ。


「ほらッ」

シンスケが
セイの手首を掴んで

自分の頬にあてがった。


「……」

「……」


見つめ合うふたり。


自分でそういう状況を
作っておいて

シンスケの顔が
どんどん紅潮していく。


シンスケの心臓の音が
恥ずかしいくらいに
聴こえてきた。


セイの手首を離さなきゃ
殴れないよ、って

私がその事実を
あげるべきなのか…。


だけど

シンスケの
至福の顔を見ていたら


そんな無粋なマネは
やっぱりできないッ。


私の中で
同情の気持ちが
マックスになる。


「…俺、シンスケさんに
お願いがあるんですけど」


「なッ、何だッ!?

何でも言ってくれ!!

おまえの為なら何でもする!
何でもできるッ」