ぷにぷにッ♂017


「トーコ、おまえ
何、怒ってるんだよ」

「別にッ」


セイに
私の気持ちを訴えたって
わかるワケはなかった。


世間では
愛を確かめ合う為の行為も

セイにとっては
スポーツ感覚なんだって

理解してるつもり
なんだけど。


こうも身近なヒト達と
そういうコトを堂々と
されてしまうと…。


「ほら、また溜息をついた!」


ビルの最上階。

夕暮れのカフェの
カウンター席。


隣りに座っていたセイが

持っていたストローで
私の手の甲に

また水を落とした。


「もう!

テーブルの上
ビショビショじゃないッ」

私はお手拭きタオルで
テーブルをキレイにする。


「ムカつくッ!」

セイがストローで
私のホッペを吸い上げた。


「もおおおおおおッ」


正面のガラスに映った
自分の顔に

虫刺されみたいな赤い丸。


ゴシゴシ、モミモミ
してみても


「全然
取れないじゃないッ!」

「誕生日の記念に
17個刻んでやろうか?」


セイがストローを
私のオデコにくっつける。


「セイは

顔に17個も赤い斑点つけた
オンナノコを

連れて外を歩けるんだ?」


私は
また溜息をついた。


「…かわいくない」


そんなコト
セイに言われなくても
わかってますッ。


ガラスに映っている
自分とセイの姿。


不自然なくらい
不釣り合いで。


「ほら、また溜息をつくッ」


セイが私の手の甲をツネる。



「セイの隣りにいたら
私、傷だらけになっちゃう」