私の目の前に
背の高いおに〜さんが
ひとり。
その肩には
オンナノコがひとり
肩車されたいて。
「あ、確か音楽教室の!」
セイの手に噛みついた
野生のオンナノコだ!!!!
「おうッ!」
オンナノコは
今日は泣きもせず
堂々としたもんで。
「娘と知り合いなのかな?」
「あ、知り合いというか…」
娘って言ってるけど
何だか
甘いいいニオイがしてて
所帯持ちには
とても見えないッ。
「ヒメミヤ・ジュンイチさん
ですよね〜!!!」
この間
特集記事読みました、って
叫びながら
ナンノがスゴイ勢いで
駆け寄ってきた。
…このパパさん。
有名人なんだろうか。
握手を求めたり
ナンノってば
ミーハーしててッ。
「『彼』の懐古展も
観ましたッ。
感動しましたッ。
私、『彼』の絵の
大ファンなんですッ!!!」
ナンノの手にも力が入る。
「パパッ
安っぽいマンボウは
どこだッ」
パパさんに肩車されていた
オンナノコが
早く先に進めと
パパさんの肩の上で
暴れ出した。
その瞬間。
「あッ」
オンナノコが履いている靴が
飛んで
私のアタマをかすめていく。
「ごめんッ。大丈夫だった?」
パパさんが申し訳なさそうに
私のアタマに触れて
「タンコブとか出来てない?」
心配した。
「あッ、大丈夫ですッ」
いきなりオトコのヒトに
髪を触られて
思わず赤くなる。
「おねえちゃんに
ごめんなさいは?」
「…ママに
言いつけてやるッ」
オンナノコが
パパさんの髪の毛を
くしゃくしゃにした。
「誤解だッ」