パパさんの必死さに
驚いたのか
オンナノコは
突然、火がついたように
泣き出して。
「ホント、ごめんね〜」
泣き叫ぶオンナノコを
あやすようにして
親娘は水族館の奥に
消えていった…。
「…何なんだッ」
「さあ」
「今のヒト、有名人?」
「たぶん
ヒメミヤ・ジュンイチの
顔を知らないヒトは
たくさんいても
名前を知らないのは
日本で
トーコくらいだと思う」
そ、そんな
有名なヒトなんだッ。
「いいなあ。
トーコ、触って貰って」
あはははは。
さっきまで
シンスケのコトで
落ち込んでいた子と
同一人物とは思えないッ。
「何、オトコに触られて
ニヤついてるんだよ」
え。
「あ、ああああ〜!!!」
セイ!!!!!
「何でアンタ
こんなトコロにッ」
「何でもしてくれるって
トーコが言ったから」
うそつけ!!!!!!
「そんなに触られて
嬉しかったのかよッ」
セイは私が
ヒメミヤ・ジュンイチに
触られていた髪の毛を
力いっぱい引っ張った。
「痛いッ、痛いってばッ」
「おい、こら、セイ!
やめろってばッ!」
シンスケがふたりの間に
入ってくれて
助かったけど。
「すんごい髪の毛
抜けちゃってるうううう!」
セイの右手には
大量の
私の長い髪の毛ッ。
「呪いのワラ人形に
この毛を
詰め込んどいてやるッ」
マジにやりそうだから
コワイッ。