ぷにぷにッ♂027
「ないッ…」
せっかく
でっかい生け簀に
魚がたくさんいるんだから
「刺身くらい
メニューに載せろよなッ」
セイが
自分の食べたいモノが
ないって
水族館のレストランで
隣りに座っている私の頬に
ぐにぐにと
八つ当たりする。
「シャケとかイクラとか
アサリとか
水族館の水槽にいない
魚介類は
メニューに
載ってるんだよなあ」
シンスケが
メニューを見ながら
苦笑いしていた。
レストランに入ったとき
セイが私を
奥の席に座らせて
その隣りに
当たり前のように
席に着くセイがいて。
それを確認するように
シンスケが
自分の奥に
ナンノを座らせて。
シンスケはちゃっかりと
セイの真正面の席を
キープしている。
セイと目が合う度に
頬を桜色に染めて
ハニカムその姿は
ちょっと
直視できたモノでは
なかったけれど。
シンスケの隣りに
座ってるナンノからは
わかりづらいのが
せめてもの救いだった。
「お決まりでしょうか?」
ウェイターさんが
注文を取りに来る。
「ドルフィンランチを3つと
グラタンをひとつ」
シンスケが
みんなの希望を
伝えていった。
「俺、結局グラタンなんだ?」
偏食児のセイがムクレる。
「中の水槽にいた巨大ダコが
食べたいんですけど〜」
セイの
冗談ともつかぬ要求に
ウェイターさんが
困った微笑を浮かべてて。
「そういえばタコって
外敵に足を切られても
再生するって
書いてあったよな」
シンスケッ
アンタまでッ!
勘弁してくださいって
言わんばかりに
ウェイターさんが
ジリジリと後退していた。