「そういえば
足が掛けていたタコも
いたわよね」
…ナンノまでッ。
「あれは
タコがストレスを受けて
自分で自分の足を
食べちゃったんで
再生はしないんですよ」
こういう質問は
よくあるのか
ウェイターさんは
困ったちゃん達にも
親切に説明してくれる。
「軟体動物における
器官の再生は
体細胞遺伝子の
全能性だけでなく
内分泌ホルモンが
おおきく関与してくるからね」
セイが
宇宙語を喋り出して
「?、?、?、??」
みんなのアタマの機能が
停止した。
「飲み物は全員コーラで
先に持ってきてくださいッ」
私はその場の空気を
換えるべく
ウェイターさんを
小悪魔の退屈しのぎから
解放する。
「タコの刺身
食べたかったな〜」
「しつこいってばッ」
今日のセイは特に
機嫌が悪かった。
魚はともかく
ブルーに神秘的に光る
クラゲなんかには
さすがのセイも
テンションが
上がり捲くりで
「飼うのは
難しいんですかッ」って
水族館のスタッフを
質問攻めにしたりして
セイなりにに
水族館を満喫してたよう
だったのに…。
これもそれも
あの野生の少女が
行く先々で
セイと遭遇しては
泣き叫び回ったり
したからで…。
「トーコ!
トーコってばッ!!」
えッ。
「何ボ〜ッとしてるの?」
「やだなッ。
ボ〜ッとなんか…!?????」
してたみたいッ!!!
気がつくと
私の目の前のコーラに
セイがせっせと
スティック・シュガーを
入れていてッ。
「何だッ!!
この大量の
砂糖の空き袋はッッ!!!!」
「ミルクも
入れて欲しかった?」