くすくすくす。
セイの悪事に
ナンノが楽しげに笑ってて。
…ここは
ナンノの笑顔に免じて
許してやるけどッ。
「おまたせしました」
運ばれてきたグラタンを
セイは
手術でも行っているかのように
フォークとスプーンで
開腹しながら
固形物をひとつひとつ
丁寧に取り出して
「コーン。ニンジン。
グリーンピース。
ついでにシメジッ」
キレイに4色に色分けして
私の水の入っていたグラスに
順番に沈めていく。
「…比重が違うから
キレイに層にはならないな」
セイにとって
自分が食べられないモノは
食物のカテゴリーには
入っていないようで。
食べモノを
粗末にするんじゃない、って
注意するのも
たいがい飽きてきていた。
「……」
私は何もなかったように
セイのグラスと
自分のグラスを
黙って入れ替える。
「……」
右側の顔に
セイの視線を
痛いくらいに感じながら
私は黙々と
ドルフィンランチを
食べ始めた。