「アンタの意見は
聞いてないからッッ!!」

思わずセイの足を
思いっきり踏みつけた。

ハズだったのにッ!!!


「痛ッ!」

私に足を踏まれて
悲鳴を上げたのは

私の目の前に立っていた
ナンノで。


「ごめんッ、ナンノッ!!」


思いっきり目測を
誤ってしまっていた。


ナンノの小指の辺りを

モロではなく
横をかすったくらいの
感触だったけれど

ナンノの額から
汗が滲んでて

その痛がり方は
尋常じゃない。


「ナンノ、足みせてみろよ」

シンスケが
ナンノの足元に跪いて。

靴を脱がせた。


「あ〜ッ、ひっで〜のッ」


大声で騒ぎたてたのは
セイのバカでッ。


「トーコ、おまえ
いったい体重
何百トンあるんだよ!」


…私は宇宙から来た
切ない巨大怪獣かッ。


「慣れないヒールなんか
履いてるから

靴ズレ
おこしちまったんだな」


シンスケが冷静に
分析してくれる。


「レストランを
出たあたりから

何か足の運びが鈍いな〜とは
思ってたんだよな」


シンスケの肩に
手をつきながら

ナンノが真っ赤になっていた。


…ちゃんとナンノのコトも
見ててくれてたんだね。


私の中のシンスケ株が
グググと上がった。


「トーコ、ハンカチ
貸してやってくれる?

俺のもこいつのも
血だらけでさ」


あっはっは。


私から
ハンカチを受け取ると

ナンノの足を
それでカバーして。


「今日はもう
あんまり歩きまわるな」


シンスケが
しゃがみ込んだまま
ナンノに背中を向ける。


「ほら」