シンスケがナンノに
おぶされと命令して。


「あ、私
何とか歩けるしッ」

ナンノが恥じらった。


「おまえ、そうやって
片足庇って歩いてたら

健常な足の筋肉を
ヤラれちまうぞ!」


…体操部バカの
男子キャプテンには

乙女の恥じらいなど
通じないッ。


「俺、コイツ送って
そのまま帰るワ」


シンスケは
ナンノを軽々と背負って

水族館を後にした。


「…私達も帰ろっか」


「土産、買わないの?」

「あ、ママ達にねッ」

私はお菓子コーナーに
移動する。


「見てッ、これッ!
実にママが好きそうッ」


”銘菓・マンボウの恋心”。


「…不味そうだな」

セイの額にシワが寄る。


「いいのよッ。
こんなのウケ狙いでッ♪」


一番ちいさなサイズの箱を
手にして
レジに行こうとしていた
私の目の前に

セイが
おおきなぬいぐるみを
差し出してきて


「なあ、これ
トーコに似てないか?」


思わず
足が止まってしまったッ。


「…それ、何かな?」

「たぶんアシカかと」

「それのどこが
私に似てるって?」

「…それは
言わぬが花でしょう」


って

「どういう意味だッッ!!」


「トーコおおおお♪
かわいいいいいいいいッ」」


セイがぬいぐるみを
抱きしめながら

頬ずりしててッ。


…恥ずかしいッ。


「ああ、そっか。

気持ちいいか?
イきそうなのかッ?」


セイの右手が
ぬいぐるみの股間で

妖しく小刻みに
うごめいていてッ。