セイと合法的に
写真に収まるチャンスなんて
そうはない。
「いつまでもプリクラを
恨めしそうに見てたっけ…」
笑っちゃいけないと
思いつつ
笑いが
止まらなくなってしまった。
キッチンから
お味噌汁の
いい匂いがしてくる。
「魚介類の
お味噌汁だったりして…」
私は苦笑しながら
リビングに戻った。
「…パパ、何してるの?」
パパが私が持ち帰った
ぬいぐるみの
”トーコちゃん”を
横抱きにして
赤ちゃんのように
あやしててッ。
「このアシカ。
ちいさい頃のトーコに
よく似てるんだよな〜」
「…似てないからッ」
「あら、似てるわよ。
毛深いトコロなんか
そっくり」
…セイの口の悪さは
ママの影響も
おおきいのかも、って
マジ、思ったッ。
よく見ると
このぬいぐるみ。
必要以上に
ふっとい眉毛がついている。
「ほ〜ら、トーコ。
高い、高〜い♪」
「パパッ!
ぬいぐるみに
私の名前で
呼び掛けないでッ」
セイの
調子に乗りやすいトコロは
きっとパパの影響だッ。
「トーコ〜。
ちょっとお手伝いお願い」
ママのSOSに
私はダイニングに
移動して
すり鉢で
ママがゴマをするのを
手伝った。
豆腐とほうれん草の
胡麻和え。
出し巻き卵。
今夜のオカズは
老人食みたいだな…。
「甘エビとかは
天ぷらとかにしようよ〜」
今日はたっぷり歩いたし
お腹も
かなり減っていて。
やっぱりもう少し
ガッツリといきたいよね。
「あら、トーコは
水族館の何とかランチで
かきあげ、食べたんでしょ?」
え?