「水族館で
私が何を食べたのかまで
どうしてママが
知ってるのッ!?」
「…あらッ…」
「……」
さっきまで
”トーコちゃん”と
戯れていたパパが
白々しく新聞を広げて
私との視線を切った。
まさかとは
思ったけれど。
「…パパのケータイ
ちょっと見せて」
「あッ、ケータイなら
会社に忘れてきてなッ」
…怪しい。
「すんごく怪しいッ!!」
私は自分のケータイから
パパのケータイを
鳴らしてみる。
「…パパのケータイの
呼び出し音が
パパのカラダから
聴こえるんですけどッ」
「……」
パパはママと
目を見合わせて。
「…セイには
見せたって言うなよ」
パパが観念して
私に自分のケータイを
手渡した。
「何ッ、これッ!!!!」
パパのケータイは
本日付のセイからの
添付ファイルつきのメールで
いっぱいで。
あの暗い水族館の中で
フラッシュも焚かずに
よくもまあ
「こんなに、たくさん…」
私の写真ばっかり。
「水族館での私の様子を
セイがパパ達に
ちくいち知らせてたんだ!?」
あっきれたッ!!!
「いやッ、それは、だなッ」
「だって
ママも行きたかったしッ。
水族館てどんなのか
知りたかったんだもんッ」
そんなのネットで調べて
知ってるクセにッ。
「…パパが
セイに強要したの?」
「違うわよッ!
セイが自分から
メールするから、って!!」
ママが必死でパパを庇う。
だけど。
まんざらママの言う話は
ウソではないかもしれない。