どの画像も
ナンノといっしょに
写っているのばっかりで。


画像の中の私は
おおきな口を開けて
バカ笑いしてる。


だけど

実際の私は
シンスケとナンノにばっか
気が行ってたし

野生の少女を
避けようとしすぎて

かなり気疲れしていて。


…セイのヤツ。

事実を
かなり捻じ曲げたなッ。


しっかしッ!

こんだけ
隠し撮りが巧いとなると

他にも写メを撮って
隠し待ってる可能性も
あるよね…。


「……」

何だか

すんごい気になって
きたんですけどおおおおッ。


セイはコンビニで
いったい、いつまで
油を売っとるんじゃいッ。


ウワサをすれば影、とは
よく言ったモノで。


私のケータイが

セイのケータイに
呼び出される。


「今、どこッ。
まだコンビニにいるのッ!?」


『今、マンションの下。

ベランダに出て
覗いてみれば?』


「別にキョ〜ミなんか
ないんですけどッ」

遊んでるヒマがあったら
早く帰ってこんかいッ。


私は
セイにアカンベしてやろうと
ベランダに出た。


『今日はトーコと
一日いっしょにいれて

嬉しかった』


私はベランダから
身を乗り出して

セイの姿を探す。


『トーコは?』

「セイ、アンタ
どこにいるの?」

『ナイショ』


「…電話切るねッ」

『あ、待って!』

もう少し、って

セイの声が
いつになくマジなトーンで。


「……」

…気味が悪い。


『いくぞ! せ〜のッ』


セイの掛け声と供に
植え込みから現れたのは


クラゲの風船の大群で。


ゆらゆらと揺れながら

一斉に
空に向って泳いでく。