真っ暗闇の中

ろうそくの灯が
こっちに近づいてきて


「おめでとうございます!」


立派なジャンボお好み焼きに

ろうそくが立っている。



「…ウソ」


これって
バースデーのお祝い!?


嬉しいサプライズに

頂点に達していた怒りも
飛んでいく。


「さあ、ろうそくを
ふたりで吹き消して」


えッ。

「ふたりでッ!?」


ふつうはひとりで
吹き消すモノだろうッ。


外国ではそういう風習でも
あるのだろうか。


「ほら、トーコ
せ〜の!!」


ふううううううううッ。


って。

セイがひとりで
ろうそくの火を吹き消して
しまって。


「ご婚約
おめでとうございます!」


15

店内の電気がつくと

クラッカーが鳴り響いて

ジャズメン達が
結婚マーチを演奏する。


「…あの?」


「まさか、せいちゃんが
こんなに早く
身を固めちゃうなんてね〜」


マスターがしみじみしてて。


「…私の誕生日の
サプライズじゃ
なかったんだ?」


私はセイを横目で睨んだ。


「誕生日のお祝いは
家でちゃんと
やっただろうが」


なだらかプリンを
もう忘れたのかって

セイの眉間にシワが寄った。


…忘れたワケじゃ
なかったけれど。


「ほら、おふたりさん
記念撮影するから」


マスターに強引に

セイとふたり
ステージ上に上げられて


「セ〜イ! セ〜イ!」


気がつくと

その日の主人公は

すっかりセイに
取って代わられていて。



私の貴重な誕生日。

年に一度だけ
主役になれる日だったのに。


…セイと結婚するのを
ちょっと考えたくなった

セブンティーンの

バースデーの夜だった。





ぷにぷにッ♂018

≪〜完〜≫


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