ぷにぷにッ♂019
シンスケにおつき合いを
申し込まれて
ナンノが
舞い上がっていたのも
数日のコトで。
「は〜い…、みんな
集まって〜…」
女子新体操部の部員までが
つられて脱力しそうなくらい
最近のナンノの
憔悴ぶりといったら
なかった。
「何かあったの?」なんて
とてもじゃないけど
ナンノ本人には
コワくて訊けない。
せっかく
私に対するナンノの
ワダカマリも消えて
私が部活から浮くコトも
なくなったとゆ〜のに
わざわざ
渦中の栗を拾いにいく
なんて
あり得ないよね。
私は部活中
当たり障りのない
必要最低限のコトバと
笑顔だけを
ナンノに向けて
時間が
彼女の機嫌を直してくれるのを
期待していた。
なのに。
「トーコ。
ちょっと
シンスケくんのコトで
相談があるんだけれど」
なんて
部活帰り
ナンノに
呼び止められるなんて。
…私ってば、ツイてない。
「私で役に立つかなあ」
ココロにもないセリフが
口をつく。
「好きなモノ
何でも頼んでいいから」って
ナンノに
連れられて入ったのは
ちょっとオトナなカフェで。
いつもなら
部活終わりは
ボック☆の100円バーガーが
お決まりのパターンなのに。
…他の部員には
聞かれたくない話なのか。
「…一番安いコーラが
600円もするよ」
ナンノの悩みの深刻さを
実感する。
「私は
クラブハウスサンドと
オレンジジュース!」
ナンノはぶっきらぼうに
注文をして
ソファーの背もたれに
深くもたれかかった。