「……」
「……」
思わぬ
ママのツッコミに
セイと目が合ってしまう。
「あの日、トーコは
とっても不機嫌な顔して
ウチに帰ってきてたものね」
「すんごい悪趣味な
セイらしい映画でッ!」
私は
セイに皮肉を飛ばした。
「セイらしいって
最後はやっぱり
主人公が理不尽な迫害を受けて
死んじゃうの?」
ママの素朴な疑問に
「…俺って
そんなイメージ?」
お腹を抱えて笑ってる私に
セイが横目で威嚇する。
「遊園地もダメ。
映画もダメじゃ
行くトコないわね」
ママは
セイと私の睨み合いなど
気づきもせずに
パソコンで
デートスポットを
検索していて。
「スポーツ観戦とかは?」
「いいかもッ!!」
セイとふたり声が揃った。
「ナンノ
確か、らいおんず
大好きだよ!
シンスケも以前
鷹軍団の試合観に行って
コーフンしてたしッ♪」
「あら
違うチームのファンじゃ
ケンカの素ね」
ママが珍しく
冷静なツッコミをする。
「…どっちにしても
プロ野球は
もうレギュラーシーズン
終わったよ」
そんなコトも
知らないのかって
セイの目が
勝ち誇ってるッ。
…いちいちムカつくッ。
「サッカーとかは
どうかしら」
「…ルール知らないかも…」
「ちょうどいいじゃん。
シンスケさんが
教えてやれば
話題にも事欠かない」
「いや、シンスケが
知らないかも…」
確か、むか〜し
「オウンゴール」って
何だって
シンスケに
訊かれた覚えが…。