「じゃ
プラネタリウムは!?」
ママが
パソコンの検索画面を
こっちに向けてきた。
「ふたりで星を見るなんて
ロマンチックよね〜」
「シンスケ
暗いの、苦手かも…」
「子どもの頃
お化け屋敷で
俺、シンスケさんに
抱きつかれたコトある」
「……」
セイの発言を
深追いしてはいけないッ。
「だったら
水族館とか動物園は?」
ママが懸命に
パソコンを検索する。
「ナンノ
そういうトコロ大好きだよ♪」
「シンスケくんも
昔、カメとか飼ってたわよね」
ママとふたり
始めて盛り上がった。
「…俺、魚の目、キライ」
「……」
「……」
…セイッ。
誰もアンタの好みなんか
聞いとらんわいッ。
「ママ、確か
ペンギンのお散歩とか
見れる水族館あったよね」
「時間を
調べておいた方が
いいわね」
セイを無視して
ママとふたり
スケジュールを決めていく。
「魚の目、キライなんだけど」
いつになく
しつこいセイに
「だったら
コレで訓練しておきなさいッ」
セイの掌にマジックで
魚の目玉を書いてやった。
「……」
セイは
眉間にシワを寄せながら
落書きされた
自分の掌を
じっと見ている。
…セイってば
マゾっ気もあったのか。
「ふ〜ん」
セイの口の端が
ちょっと上がって
テーブルの上の
マジックに手がかかった。
仕返しされるッ!!!?
私はママを盾にして
セイから身を隠す。
「…ママッ!
セイが何か
仕返し考えてるッ!!!」
「あらあら」
ママは
のん気な声を上げた。
セイってば、
私の告発にヒルむコトなく
「ふふん」って
鼻で笑って見せる。
…ヤバいかもッ。
キュポッ。
セイがアゴを上げて
高慢に私を見下ろしながら
マジックのキャップを
開けた。