「シンスケは昼食
食べ終わったの?」
「…食欲、わかなくてさ」
シンスケがベンチの端に
ドガッと座った。
「……」
「……」
ベンチの端と端。
気まず〜い空気が
流れている。
「ミートボール食べる?」
「いや、いい」
…本当に食欲がないんだ。
私はひとり黙々と
お弁当を口に運ぶ。
「…デートってさあ。
何着ていけばいいんだ?」
えッ。
シンスケからの
予想外の質問に
思わずゆで卵を
ノドに詰まらせそうになった。
ゴホ、ゴゴホッ!
「おい、大丈夫か?
誰もおまえの弁当なんか
狙ってないから
安心してゆっくり食え」
シンスケが
私の背中を叩きながら
笑ってる。
「コーラでも
買ってきてやろうか?」
「ううん。大丈夫」
シンスケってば
やっぱりやさしい。
普段
セイからゾンザイな扱いを
受けているモノだから
何かやさしさが
身にしみるぞッ。
ナンノがシンスケのコト
好きだって聞いたときは
「ええ〜ッ!?」ってカンジ
だったけど
見た目はともかく
やっぱり性格は
とってもいいんだよね。
セイと違って
意地悪はしないし。
セイと違って
ヒネてないし。
セイと違って
正義感に溢れてて…。
こういうヤツと結婚したら
しあわせなんだろうけど。
如何せん
シンスケには
男色家の傾向が見受けられ…。
「…勿体ないよね〜」
「何がだ?」
「あ、いやッ、こっちの話ッ」
思わず
声に出してしまってたッ。