「え〜っと。

デートに着ていく洋服の話
だったよねッ」


私はその場を
笑って誤魔化す。


「やっぱりジャージじゃ
マズイよな…」

「…そだね」


「だけど、俺
ジャージ以外持ってないし」


…そういえば

ここ何年も
ジャージと制服以外の
服装をしたシンスケって

見たコトがないような…。



「セイに相談すれば
何か用意してくれるよ」

「そんなマネ出来るかよ!」


シンスケから
意外な返事が返ってきた。


…セイにメールする理由が
出来たって

喜ぶかと思ったのに。


「見てよ。
セイからのメール」

シンスケが溜息をつきながら

セイから送られてきたメールを
私に見せる。


「げげッ」


《追伸:

シンスケさんに
恥をかかせないよう

当日、俺も気合い入れて
オシャレしていきます》


って。

「何じゃ、こりゃあああああ」


明らかにシンスケに
プレッシャーを掛けているッ。


「俺って
凄いセンスいいヒトだって
セイから
尊敬されているみたいでさ」


…違うと思うぞッ。


負けず嫌いのセイは
シンスケみたいないいヤツに
意地悪せずには
いられないのか…。


「セイのコトなんか
気にしなくてもいいとは
思うんだけど…」


そうは言っても

やっぱり
ジャージでデートじゃ
ナンノが可哀想だ。


シンスケも
セイを気にするより

ナンノを気遣ってやって
欲しかったぞッ。


「シンスケはジーンズも
持っていなかったっけ?」


「この脚じゃ
サイズの合うジーンズなんて
そうそうないしさ」


…確かに筋肉隆々の
その太股じゃ

ジーンズはキツイか。