「じゃあね。
ジャージでもいいから
ラッパーみたいな
派手なアクセと
カッコイイ帽子被れば?」
「そんなモノ…」
「持ってないよねッ…」
言った私がバカでしたッ。
「じゃ、デートまでに
私が小物を
用意しておくから」
「え、じゃあ、お金…」
「いいよ。
夏休みの宿題とか
さんざ手伝って貰ってるしッ」
お金なんて
とてもじゃないけど
取れませんッ。
アクセサリーは
自分の持ってるヤツを
リメイクして
作ればいいし。
問題は帽子か…。
ニット帽を
手作りしてもいいけれど。
「ふたりで何話してるの?」
「!!!????」
その声に振り向くと
そこには
ナンノが立っていてッ。
「あッ、これはッ」
超アセルッ。
「ふたり仲良くお弁当?」
「いえッ、食べていたのは
私だけですッ」
ああ〜、何で
敬語になってるんだ、私ッ!
「…ナンノこそ
どうしてこんなトコロに?」
「文化祭の準備委員会で
呼び出されてたのよ」
「あッ、準備委員会
忘れてたッ!!」
シンスケが叫びながら
真っ青な顔で
ベンチから立ち上がった。
「男子体操部の
キャプテンだから
出席しなくちゃ
いけなかったのに
時間になっても
姿が見えないから、私ッ」
わざわざ
探しに来たのだと
ナンノは言う。
「トーコ、ごめん!
俺、ちょっと
出席してくるから」
シンスケが駆け出して
ナンノとふたり
取り残された。
「…ナンノ、あのッ」
「別に言い訳なんか
聞きたくないからッ!」