ナンノは私を
キツイ目で睨んで
シンスケの後を追う。
「…あの?」
何か凄く
誤解されてしまっているよ〜な
気がするんですがッ。
「気がするんじゃなくて
これはしっかり
誤解されてるな、うん」
セイが楽しそ〜に
私がナンノに打った
言い訳メールを盗み見してる。
「言われなくても
わかっとるわいッ」
今日の部活中
ナンノは結局
私と一度も
目を合わせては
くれなかった。
「トーコが余計なお節介を
しようとするから
こんなコトになるんだろ」
自業自得だ、って
セイが
いい気味だと言わんばかりに
私を見下ろしている。
「さっきから
おまえ、何作ってんの?」
「何でもいいじゃないッ」
「もしかして
シンスケさんのニット帽?」
「……」
「このままだとデートすら
遂行できるかも
わからないのに?」
…そんなコト
わかってるよッ。
「トーコはホントに
おバカだな。
そんなマネしたら
もっと誤解されるだけ
なのにさ」
確かに
セイの言う通り
自分の彼氏に
手作りの身に着けるモノを
他のオンナノコから
プレゼントなんかされたら
気分いいワケないよね…。
ニットを扱う私の手が
止まってしまった。
「もう!!!!
うるさくするなら
私の部屋から
出て行ってよッ!!」
私は
セイに八つ当たりして
セイのカラダを
自分の部屋から
押し出そうとする。
今更修復しようもない
現実ほど
ヒトから指摘されて
グサリとくるモノは
なかった。
「ナンノちゃんとやらの
誤解を解く
いい方法があるんだけど」
「えッ」
「ま、おバカなトーコちゃんに
言っても仕方ないか」
セイが自ら進んで
私の部屋を後にしようとする。
「そんなモノがあるんなら
勿体つけてないで
最初から
教えなさいよッ!!!」
私はセイの腕にしがみついた。
「アイデア提供料は
高くつくからな」
「お金なんかないもんッ」
「…わかってるくせに」