ぷにぷにッ♂022
「本当にお弁当
要らないの?」
水族館に出かける
当日の朝
ママが
私達のデートの心配をする。
「もうすぐ
パパの会社のヒトが
訪ねてくる時間なんでしょ」
「そうなんだけど…」
ママとしては
自分が参加できなくなった分
せめて
お弁当くらいは、って
わざわざ材料まで
用意していてくれて
いただけに
とっても心残りらしい。
「水族館にも
名物ランチとかあると思うし」
「セイが
食べれるようなモノが
あったらいいんだけど」
…セイは幼稚園児かッ。
「水族館だから。
俺の好きな刺身とか
豊富に揃ってるだろうし」
「そう言えば、そうよね♪」
って
ママってば
どうしてそこで納得するッ!?
「毎日お客に
活きのいい魚を捌いて
出してたら
水族館のお魚が
いなくなっちゃうでしょッ」
「……」
「……」
私の冷静なツッコミに
セイとママの眉間に
シワが寄る。
「死んじゃってから
お魚を捌いて
出してるんじゃ…」
「刺身の鮮度も疑わしいな」
…アンタ達ッ。
どうしても
刺身をメニューから
外せないのかッ。
「…いってきますッ!」
私は
セイの腕をガッツリ組んで
強引に玄関を出る。
「ナンノが
お弁当作ってくるって
言ってたから!」
ママには悪いけど
遠慮して貰ったんだ。
「…食えるのか?」
「それ、ナンノの前で言ったら
殺スッ!」
偏食の多いセイに合わせて
チーズや生ハムの
サンドウィッチを
ちゃんとリクエストして
置いたんだからねッ。
「…活きのいい刺身が
食いたいな〜」
「うるさいッ。
水族館でそんな
空気を読まない発言したら
許さないからねッ」