私は
ダラダラと歩くセイを
引きずるように
エレベーターに乗る。
「だけど
パパの会社のヒトが
急に家に来るコトになって
助かったね」
ママってば
私達と水族館へ
行く気満々で。
「本当についてこられたら
どうしようかって
気が気じゃなかったよ」
「父さんの配慮に
感謝するコトだな」
えッ。
「もしかして
わざとこの日に
会社のヒトを
招待したとかッ!?」
「ふふん」
「ふふんって、何ッ。
やっぱり
そ〜ゆ〜コトって意味ッ!?」
「だってさあ」
パパはママにふたりのコトを
ちゃんと話したつもり
だったけど
「母さんが
ふたりのコトを
どう解釈したのか
父さんにも
よくわからないって
言うしさあ」
…おいおいおいッ。
「そんなコワイ状況で
母さんなんかを
デートに同行させるワケには
いかないだろ?」
…ごもっともッ。
「父さんも
しっかり
楽しんで来いってさ」
セイが
エレベーターの中で
私の腰を抱き寄せた。
「楽しんで来いって
そういう意味じゃ
ないと思うッ」
私はセイのカラダを
押し退けて
「つれないの〜…」
セイが私の
赤いタータンチェックの
ミニのプリーツスカートを
ひらひらと
揺らしてみせる。
「シンスケが階下で
待ってるからッ」
シンスケが
鼻血を出すような
イタズラは
絶対にしないでと
私は強く念を押した。
「わあってるよ!」
セイがちょっぴり
スネている。