「おはよう!」
几帳面なシンスケは
やっぱり今日も
時間通りで。
「…おはようッ!」
シンスケが恥ずかしそうに
私の挨拶に
照れながら答えてる。
何度も何度も
ニット帽を
手でいじってて…。
ああ、そうか。
「シンスケ
よく着こなせてるよ!
ねッ、セイ?」
私はセイの腹筋に
ヒジを入れて
同意を求めた。
「似合ってるのは
当たり前だ。
俺がプロデュース
したんだから」
…いったいアンタは
ナニサマだッ。
だけど
そんな高慢なセイのひと言も
「え、そっか!?
だったらいいけどッ」
シンスケには
神様からの啓示に
聴こえるらしく
「セイに褒めて貰えると
安心だ〜!!」
イッキにテンションが
上向いている。
さっさと歩いていく
セイの後ろを
シンスケが嬉しそうに
ついていってて。
「…ま、いいか」
ナンノの前で
機嫌悪くされるより
マシだよね。
私はふたりの後を
追いかけた。
…セイは後姿も
やっぱりカッコイイ。
シンスケと比べたら
気の毒といえば
気の毒すぎなんだけど。
手足の長さや
アタマのちいささなんか
もはや別次元の
存在で。
…私とセイも
他のヒトから見たら
こんな風に見えてるのかな。
今日は
ナンノとシンスケが
ペアルックを
恥ずかしがらないように、って
私とセイも
ちょっとだけ
ファッションを
合わせてきたりしてるから
余計に
私のコンプレックスが
強調されてしまって
いるのかもしれない。