ぷにぷにッ♂023
「ナンノ、顔を上げてよ」
いったい何があったって
言うんだッ。
謝るより先に
事態を明らかにして欲しいッ。
アタマの中に
いろいろな最悪の事態が
浮かんでは
必死に打ち消そうとする
自分がいる。
「お弁当、作れなかったのッ。
本当にごめんなさいッ!」
えッ…。
「……」
「……」
「……」
「あんなに任せておいてって
タンカ切っておいて
凄く恥ずかしい…!」
おいおいおいッ。
「…何だ、そんなコトか」
ひたすら謝りまくっていた
ナンノに
そう声を掛けたのは
シンスケだった。
「水族館にも
レストランあるだろうし。
行こうぜ」
「……」
…実にあっさりと。
シンスケは
たいしたコトじゃないって
言わんばかりに
切符を買っているけれど。
気にするなよ、って
やさしさって
逆に何か冷たいよ。
「あのね、シンスケッ…」
お節介かと思いつつ
切符を買うフリをして
私はシンスケに声を掛ける。
なのに。
「残念だな。
ナンノちゃんのお弁当
楽しみにしてたのに」
って。
セイッ!!!
そのセリフ
アンタが言うなあああ!!!
そのセリフは
シンスケに言わせてこそ
フォローになるんだッ。
ナンノが
セイの黒曜石の瞳に
ロックオンされて
ホッペがピンクに
染まっているうううううう。
「ちょっと、セイッ」
私はセイを連れて
足早に改札口を通り抜けた。
「何でアンタが
ナンノを構うかなッ」
「嫉妬?」
…あのな〜ッ。
「アンタはシンスケを
引き立ててあげなきゃ
ダメじゃないッ!!」