コトもあろうか

セイが
ナンノをお姫さまダッコをして
階段を上っていくでは
ないかああああああ!!!!


違うだろッ!!!


セイッ!
アンタはお呼びじゃないッ!


階段を降りてくる
お客さん達も

思わず
セイに道を譲ってしまってる。


私は慌てて
セイを追っかけて
階段を駆け上がった。


「セイッ、アンタねッ」

セイの袖口を掴んで
抗議しようとして


「見ろよ。シンスケさんの顔」

セイが意味深に笑ってる。


えッ。


「嫉妬の炎、メラメラ〜」

おお、コワイ〜、って

セイってば
ふざけてて。


「……」

そんなの確認しなくても
充分、想像はつくよ。


シンスケは
ナンノが羨ましくて
仕方ないって

ココロの中は…。


「嬉しいッ」

えッ。


「シンスケくんが
私の為にヤキモチを妬いて
くれるなんて…!」

ナンノの瞳がキラリと輝く。


…ナンノってば
すっかり勘違いしてるッ。


けど。

ありがたいいいいい。


もしかして

セイは
ナンノを喜ばせようと

わざとシンスケを
刺激して…?


何だかちょっと
セイのコト見直したぞッ。


思わず顔が
にへら〜って
緩んでしまう。


「…何、トーコが
喜んでるんだよッ」

セイの口調が
尖がった。


「照れなくても
いいじゃない〜。

いいトコあるねッ」


階段を上り終えて
ナンノを下ろすセイの脇腹に

私は
グリグリとヒジを入れる。



「…何だよ、それ」