セイが
フイッとそっぽを向いた。


「でも、誤解されたままじゃ
気まずいから…!」


そう言って
シンスケの傍に
行こうとしたナンノの手を
セイが掴まえて


「電車きちゃう」


ふたり足早に
手を繋いで
駅の渡り廊下を走ってく。


…え。

おいッ!!!!

いくらなんでも
それは
やり過ぎだろおおお!


私はセイ達の後姿を
ボー然と見送った。


「…トーコぉ」

私の背後に
暗黒のオーラが
近づいてきくるッ。


「あのね、シンスケッ」

「トーコ、俺さあ。

やっぱり
帰っていいかなあ…」

いいワケありませんッ。


私はシンスケの腕を
しっかりと掴まえて。


「このままセイをナンノに
取られてもいいワケッ!?」


思わず
言い間違えてしまう。


「…俺ッ」

「ごめん、ごめん。
セイにナンノを、だったねッ」


失態を誤魔化すように

私はシンスケを
引っ張るようにして
駅の階段を掛け降りた。


「駆け込み乗車は
危険だぞッ」


セイ、アンタにだけは
注意されたくないッ。