ぷにぷにッ♂024


電車のドアが開いて
新たに乗り込んできた乗客に
押し込まれるようにして

反対側のドアに
ふたり移動する。


さっきまでは

私がセイを
ドアに追い詰める
形だったのが

今度は
セイが私を
ドアの端っこに追い詰める
格好となってしまった。


「乗客が増えてきたから
シンスケ達の元に戻ろうよ」

ふたりと
ハグレちゃうよ、って

セイの胸元を
自分の肩で押すようにして

セイのカラダから
逃げ出そうとしたのに。


「話はまだ
終わってないんだけど」


セイのヒザが
私の希望を阻む。


「もう、セイの気持ちは
わかったからッ!」

鈍感で悪かったわね、って

セイの長い腕を掴まえて
力づくで振り切ってやろうと
思ったのに。


逃げ出せるどころか

私はセイに
両手首を掴まれて

さらにドアの端へと
ぎゅうぎゅうに
押し込まれた。


…セイの顔が
必要以上に近くって

目の焦点までもが
おろおろと
狼狽えてしまっている。


セイの両手が
私の手首ごと
私の左右の逃げ道を
塞いでいて。


セイの肩先の隙間から

乗客がちらちらと
コッチに視線を投げかけながら

私達に興味を示しているのが
わかった。


…セイはやっぱり
目立ち過ぎる。


なのに

「今、この場でおまえのコト

丸裸にしてやっても
いいんだからな」


なんて。

あり得ませんから
あああああッッッ!!!


ぱくぱくと
自分でも
ちゃんと息が出来ているのか
わからないけど

きっとカラダ中の血液が
顔面に集まってきているに
違いなかった。


私はアタマを小刻みに
横に振って

セイに必死で
目で嘆願する。


「痴漢だ〜ッ」って
騒いで逃げたりしたら

セイのコトだ。


そんな私に
当てつけるように

鉄道警察隊に
あっさりと連行されるに
決まってるッ。