「…俺が欲しい?」

「……」

「欲しくないの?」

「……」


「トーコがいらないって
言うのであれば

他のヤツに
やっちまおうかな」


「…セイは意地悪だ」

「どっちがだよッ!!」


ドガッ!!!


セイが
私の顔のすぐ傍の
ドアのガラスを

強く叩いた!


「……」

…心臓が
止まるかと思ったッ。


ヘナヘナとその場に

ヒザから崩れ落ちる私の腕を
セイが支えて。


「俺がおまえ以外のヤツと
何をしようと

おまえはいつも
平気な顔をしてて…!」


憎ったらしい!、って

私の頬っぺたを
強くツネり上げた!


「いだだだだだだッ」


「かわいくないッ!
かわいくないッ!!

かわいくないッ!!!!」


「だだだだだあああああッ」


左のホッペも
限界に差しかかって

ほろり

ナミダが落っこちる。


「ホンット、バカッ!
バカトーコッ!!」


セイが
私のホッペから手を離して

今度は私のアゴを掴んだ。


「どうして
俺ばっかり

おまえのコトを
好きになんなきゃ
いけないんだ!?」


「……」

「どうして
俺ばっかり…!!!!!」


饒舌だったセイが

私の肩に
自分のオデコを
預けるようにして


コトバを詰まらせる。


カタン、コトン。

カタン、コトン。


電車の揺れが
まるで揺りかごのように

セイをやさしく
あやしてした。