ぷにぷにッ♂025


「シンスケくん。
何とか血も止まったみたい」


血だらけの
シンスケの洋服を見て

みんなが
遠巻きにするようにして
シンスケ達の横を
通り過ぎていく。


おかげで

混雑していた駅のホーム

ベンチに
腰かけていたふたりを
見つけるのは

簡単だった。


「黒のジャージだから
血の量のワリに
目立たなくてよかったわ」


ナンノは一生懸命
フォローしているつもり
らしかったけど。


道行くヒトの目が
ナンノの意見を
思いっきり否定しているッ。


ジャージはともかく

中に着ていた
爽やかな白のTシャツのは

目を覆いたくなるくらい
悲惨な状態で。


どう見ても
事件にでも遭ったかのような
惨状だった。


「水族館で
Tシャツを買えばいいいよ」

セイがシンスケの
ジャージのファスナーを
引き上げて

立ち上がらせる。


「出血が多いから
貧血が心配だな」

セイがいつになく
シンスケに親切で


気味が悪いぞッ。


「俺、鼻血よく出すから」

シンスケが
ポケットの中から

鉄剤を取り出して

飲み込んだ。


…ちいさい頃は
そんなモノ
持ち歩いてなかったのに。


何か凄く意外だった。


健康優良児みたいな
シンスケが。


幼なじみなんだけど
知らないコトは
まだまだ多い。


「フェロミア?
フェロ・グラデュメット?

それともフェルム?」


セイが興味深そうに
シンスケの持っていた
ピルケースを取り上げる。


「さあ、医者に
処方されたヤツだから…」


シンスケの答えに

「自分がどんなモノを
飲んでいるかは
ちゃんと知っておいた方が
いいですよ」


なんて


…余計なお節介の
セイが
とってもエラソーに見えるッ。