「…私もシンスケくんに
心配されるような
か弱いオンナノコを
演じた方がいいのかな」
ナンノのひと言に
思わず私の足も止まった。
「そんなコトないッ!
ナンノは今のままで
充分
魅力的なオンナノコだよッ!」
私の声に
ナンノがちょっとだけ
振り返って
「恥ずかしいから
早く歩いてよ!」
真っ赤な顔して
私を手まねきする。
「うんッ」
私はナンノの腕に
腕に回して
水族館に向って
駆け出した。
「シンスケに
似合うTシャツ
しっかり見立ててあげて
彼女としての
株をあげなよ!」
「…そうするよッ」
ふたり
勢いよく水族館の
お土産館に飛び込んだ。
のにッ!!!!
「やっぱり
こっちの方が似合うかな。
セイはどう思う?」
なんて
シンスケは
Tシャツを4枚持って
お土産館の中を
歩きまわっている
セイの後ろを
つきまとっている…。
「こっちの方が
顔映りいいかなッ?
ねッ、セイ?」
「…どっちでも」
セイが
面倒臭そうに答えてて。
「そうだよなッ。
どっちも捨てがたいよなッ」
「……」
「……」
ナンノとふたり
思わずその様子を
黙って
見つめてしまっていた…。
「お、トーコ
何やってたんだよッ」
セイが
私達の姿を見つけて
ゴマアザラシのぬいぐるみを
2匹投げてつけてくる!!!