「店の商品だぞおおおッ!」


床に落とすワケには
絶対にいかないッ!!!


私はカラダを張って
2匹を無事に受け取った。


ほおおおおおおおお。


「…トーコ
ナイスキャッチッ!!」

ナンノが思わず
私のキャッチングに感嘆して

拍手を送る。


「トーコには

運動神経しか
取り柄がないからなッ」


セイが
憎ったらしいコトを
言ってきてッ。


「だったら何よッ」

ゴマアザラシを
いつもの調子で
投げ返してしまった。


1匹はセイの手元に

「バカトーコッ!!」

もう1匹は
目測を誤って

セイの背丈を
遥かに追い越して

ゴマアザラシが
遠くに飛んで行く…。


「任せとけツ」

運動神経自慢の
男子体操部キャプテンの
シンスケが

ハンドボール部の
エースさながら

ゴマちゃんを
追いかけて行って。


「シンスケくん
危ないッ!!!!」


ガッシャーンッッ!!!!


ワゴンに勢いよく
アタマから
突っ込んで行った…。


「お客さまッ!
大丈夫ですかッ」


タコのぬいぐるみの中から
ひょっこりと
顔を出すシンスケを見て


「血ッ!!!!!!」


店員のおねえさんが
卒倒する。


「いえッ、この血はッ!」

「違うんですッ!!」

私とナンノが
事情を
説明しようとしたのに。


「危ないな。

ここの床
滑りやすいんじゃ
ないですか?」

セイが
シンスケの上着を
おおきく開き見せた。


「ああ〜。
やっぱり着替えが必要かな」


「申し訳ございません!
すぐにご用意致しますッ」