黒い孤島編


期末試験も
セイの特訓のおかげで
なんとか無事に乗り切った。


ウチの学校は
先生が採点をする為に

テスト休みというモノが
存在してて

今日から3日間は
部活もなく
完全な休息日となる。

ハズ、だった。


「船ってどうして
こんなに揺れるんだッ」


ただでさえ
朝早くに叩き起こされて
絶不調だったセイが


観光船とは名ばかりの
漁船に乗せられて

船酔いと
悪戦苦闘している。


「気持ち悪ッ…」


「我慢せずに
吐いちゃえば?

見なかったコトに
してあげるからッ。ね?」


顔面蒼白のセイを

私が必死に
なだめていたと言うのにツ。


「これっくらいの波くらいで
泣きゴト言うなんざ

オトコじゃね〜な。

こっちの
ちんまりとした
ねえちゃんを見てみろ」


ケロっとした顔
してるぞ、って

自称・観光船の船長が
私を指さしていた。


…ちんまりとした、って。
私のコトですかッ。


2名しかいない
貴重な乗客を掴まえて
エライ言いようだ。


「…トーコの三半規管は
下等動物並みの
鈍感さだからなッ」


こんな状態になっても

負けず嫌いなトコロだけは
譲れないのかッ。


「口の中に指突っ込んで
無理矢理吐かせても
いいんだけどなッ」

「…んなコトしてみろ」


おまえの指、噛み切って

俺のカラダの一部に
してやるッ、って。


セイってば
ホントにやりそうだから

恐いッ。


「ねえちゃん達
ほら、島が見えてきたぞえ」

「えッ」