青い海。
青い空。
白い雲。
そのどれをも
拒絶しているかのような
その厳つい島の風貌は
まるで…。
「流刑島だな」
ゴツゴツした岩場。
遠くから見たときは
黒光りして見えていたけれど
傍で見ると
みっちりと苔のようなモノが
密生していて。
「ツルツルしとるから
足元、気ィつけてな」
って。
ここには
船着場とか
港とかと呼ばれるモノは
ないんですかいッ。
私は転ばないように
恐る恐る前に進む。
「トーコ
へっぴり腰になってるぞ」
って。
船酔いごときで
額に汗を滲ませているヤツが
余裕ぶって
ツッコんでくるんじゃないッ。
「こんな荷物になったのは
誰のせいだったかなッ」
旅行カバンが
こんなに大きくなければ
スケートみたいな感じで
スイスイ先に進んどるわいッ。
「セイの服やら靴ばっか!」
アンタは
どこぞの大統領夫人かッ。
「こんな離島。
必要だったって
後から後悔しても
店がないんだからなッ」
そうなのだ。
この島はあまりに
本州と行き来がないらしく
宅配便なんかも
日時指定が出来ない上
特別料金が
かかってしまう地域に
指定されていた。
「こんなに急な
旅行じゃなければ
前もって
荷物を送れたのにね」
「こっちにも
都合がありますから
死ぬときは3日前には
ご連絡ください、ってか?」
「……」
笑えないブラック・ジョーク。
今日、この島に
セイとふたり
お葬式に出席する為に
やってきた。