あれ程、頑なに
セイに知られるのを
嫌がっていた

セイの親戚のコト。


生きているのかさえも
教えて貰えて
いなかったのに。


いきなり
葬式に参加しろだなんて

最初は
どういうコトなんだって
動揺してしまった。


10年程前に
セイのおばあさまが
脳卒中で倒れてしまって

ここ5年程は
ほとんど
植物状態だったらしい。


「最初に入院されたときに

セイを連れて
見舞いに行きたいと
申し入れたら

親戚に断られて…」


以来

セイの親戚とは
没交渉中だったのだという。


「セイのおばあさまは

生前、セイのコトを
凄くかわいがっていてね」


セイの養子話も
最初は簡単には進まなかったと
ママは言っていた。


「相続のコトやら
いろいろとあってね。

当時はとっても大変だった」


今回、セイが
親戚から呼び出されたのも

遺言書の開封と
その執行の為だって

伝えられてて。


「むこうに行って
遺言が公開されても

例えどんな内容でも

セイに
その場では即答は
させないようにしてくれ」


パパ達に
強く念を押される。


「本当は
そんな席になんかに

セイを
送り出したりしたくない」


だけど

セイに逢いたがっていた
おばあさまに


「せめて最期くらい
お別れをさせてあげたい」

って。


パパ達にとって

それは
苦渋の決断だった。


ガタ、ガタンッ。


舗装されていない山道に

車が小刻みに上下に
揺れていて。


セイが
私にもたれかかってくる。