ダサいカッコはしたくない
なんて
そんな考えが
いかに甘いかって
この隙間風が
身に沁みるくらい
カラダに教えてくれる。
ここでは
生死がかかってるッ。
私は携帯カイロを
カラダ中に貼り捲くった。
セイは
どうしてるんだろう。
寒いの苦手だから
今頃
カノンくんを
困らせてるんじゃ
ないのかな。
「あ」
私はスーツケースの奥に
セイの荷物を見つける。
「セイの靴
届けてあげなくちゃ」
私は元来た道を戻って
セイ達のいる部屋を探した。
「どこから入れば
いいんだろう」
行けども行けども
建物が
続いているのだけれど
窓があっても
入口らしい場所がない。
窓も障子がしまっていて
どの部屋も
灯りがついていない。
…大声とか出しちゃ
叱られそうなくらい
静かなトコロで。
「…池も
凍ってるんですけどッ」
寒さも
目で確認してしまうと
より一層
現実感を増す。
「走り込みして
カラダを暖めようかな」
なんて
言ってる傍から
吐く息が真っ白だった。
「この島に着いたときは
あんなにお天気だったのに」
気がつくと
どんより
雲がせまってきてる。
「船長さんが
この辺りの気候は
変わりやすいからって
言ってたけど」
本当なんだな…。
私はケータイを取り出して
セイを呼び出すコトにした。
「げッ」
ケータイのアンテナが
「圏外、って!!!!」
どんな田舎じゃ!!
「ああ〜! もおッ」
凍死するより
恥をかく方がマシだと
思い切って
障子を開ける。