よかった。
「ねッ、もうお式も
始まるって言うし…」
「式なんか
どうでもいい…!」
「……」
セイってば
こんな離島までやってきて
何を言い出すのやらッ。
「おばあさまと
お別れしにきたんでしょ?」
「……」
「後悔しないうちに
戻ろうよ」
「おまえ
着物をカトーのヤツに
着せて貰ってたとき
傍に誰かいたのか?」
「えッ」
「いなかったんだろ?」
「……」
「他のオトコとふたりっきりで
お着替えなんて
よくもまあ
平気な顔して
俺の前に出て来れるよなッ」
「別にやましいコトなんて
ないからッ」
「うるさいッ」
セイが傍にあった
フスマを乱暴に開けて
私を真っ暗な部屋の中に
連れ込んだ。
「何?
セイ、どうしたの?
アンタ
おかしいよッ!?」
あっという間に
部屋の端っこに
私は追い詰められて
帯を解かれる!
「やめて、セイ!」
帯を取られまいと
抵抗する私を
セイは畳の上に押しつけて
馬乗りになった。
「家紋つきの着物なんて
カトーの家に
嫁入りでもしたつもりか!」
「考えすぎだよッ」
セイは
私の言い訳など
聞く耳を持たないって
言わんばかりに
私の着物を脱がしていく。
「もう、やめてよお…」