細い廊下。

カノンくんを先頭に

その後を
弁護士のカトーさんが
続く。


「おまえ
そんなモノ、持ち出したりして
どうする気だ」


セイが私に
そっと耳打ちしてきて。


「……」

…バレバレですかッ。


「コートごと俺に渡せ」

セイが私のコートを
取り上げようとした瞬間。


パタッ。


「あッ」

私の手から
小説が廊下に落ちて


その気配に
弁護士さんが
振り返ろうとする!


ヤバいッ。

そう思った瞬間。


ストン。


「ひえええええええッ」


コトもあろうか

私の穿いていた
制服のスカートが
床に落ちてッ!


思わず
その場にしゃがみ込んだ。


「うおッ」

弁護士さんも
カノンくんも
慌てて前を見て

見ていないフリをしたけれど。


…絶対見られたッ。

私は耳まで赤くなる。


そんな私に
構うコトなく

落ちていた小説を
さっさと回収して
コートの中に隠すオトコが
約1名ッ。


私と目が合って

余裕で
笑ってるうううううう。


…アンタ
私のスカートのホック
外したなッ!!!!!!


私はかじかむ手で
スカートを必死で穿いた。


「俺、ちょっと
コイツのコート
部屋に置いてきます」


セイの声に

恐る恐る弁護士さんが
振り返る。


「…トーコさん。
大丈夫ですか?」