「はあ、まあ…あはは」
私は笑って誤魔化した。
「その制服
やっぱり
お着替えになった方が…」
「あ、大丈夫です。
今度はしっかりと
ホックを掛けましたからッ」
「いえ、気になるのは
そのスカートの丈で…」
弁護士さんが口籠る。
「都会ではミニの制服って
当たり前なんですよ」
カノンくんが
フォローしてくれたけど。
…私のスカートが
特別短いとは思わないけど。
ここの土地のヒトが見たら
そう見えるのかな。
「…すみません。
黒い服ってセーターと
トゥラウザーしか
持ってきてないんですけど…」
「トゥラウザー?」
「カトーさん
ズボンのコトですよ」
カノンくんが補足した。
「ズボンはマズいですねえ…」
喪服をご用意しますから
それにお着替えください、って
私は弁護士さんに
連れられて
足早にその場を移動する。
…セイに断らずに
ついてきちゃったけど。
ひとり
今度は広めの部屋に
通されて
待たされた。
「…この部屋も暖かいんだ」
何にもない和室なのに
暖房をつけっ放しに
してるなんて
贅沢だ。
「お待たせしました」
弁護士さんが
喪服を持ってきてくれて
「廊下で
お待ちしていますから」
そのまま部屋から
出て行こうとするけれどッ!
「私ッ、和服なんか
ひとりで着れませんッ」
弁護士さんのスーツを
思わず掴んだ。
「……」
「……」
…都会っ子は
これだから、って
言いたげなのは
わかってるッ。